2016年12月12日月曜日

茶の料理 

最も正式な茶の料理が懐石とよばれます。

懐石とは、禅僧が修行中のひもじさをがまんするために、温めた石を懐(ふところ)に抱いた、という伝承にもとずき、質素な料理を意味する言葉です。

通常は一汁三菜の形で、汁・向付・煮物・焼物を基礎にしています。これに加え強肴、吸物と八寸が出されます。

一汁三菜について少し説明を加えましょう。

汁の一種には味噌汁(赤白の味噌を使う合せ味噌が一般)に野菜・麩などを入れ、向付には魚の刺身が通常使われます。

煮物は懐石の眼目となるもので、澄し汁にて身には野菜・魚鳥の各種が使われます。

焼物には魚を主として用い、いずれの料理も、野菜・魚鳥ともに、その茶事の時期にあって最も味のよい、いわゆる旬(しゅん)のものを使うのが習いとなっています。

夏の朝の茶事では一汁二菜(汁・向付・煮物)として、夏の時候柄生魚の使用を遠ざけるのが習いとされています。

懐石の順番は、まずはじめに、折敷という低い膳に飯と汁、向付をのせて、亭主が客へ渡します。

飯はたきたての、まだむれていないご飯を一口盛り(お客様のお越しを待ちかねていた心を表します)、つづいて煮物、焼物が運ばれ、一つの料理を食べ終ると、すぐに出来たての次の料理が運ばれるという、心こもった配膳がおこなわれます。

強肴と吸物、さらに山海の珍味を盛った八寸は、さらにお酒をすすめるための料理で、こうして主客あるいは客どうしがうちとけて話がはずんでまいります。

最後に、湯桶に湯(おこげに湯をさしたもの)と香の物が出て、客は器を清め、ごちそうさまの気持で一斉に箸を膳におとし、水屋にいる亭主に食事の終ったことを知らせます。

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